酒屋はつらいよ。2021冬

福岡,大吟醸,酒屋はつらいよ

日本全国津々浦々どこいっても陳列棚には同じ商品

こんにちは。友添です。本日は、酒屋はつらいよっていうお話を少々。スーパーであったりコンビニであったり。組織小売業が席巻しています日本全国津々浦々、概ねこの包囲網完成しているんじゃないでしょうか?福岡市内コンビニなんて100mに1軒くらい存在しています。その組織小売業が取り扱う商品とは?ナショナルクライアントをはじめとする大きな食料メーカーの工業製品が陳列棚にびっしりときれいに並んでいます。ということはつまり、そのアイテムを選ぶことしかできないのです、消費者は。そんな時代になってきています。この売り方だと、商品開発後、全然売れなくて、苦節◯◯年やっと陽の光をあびましたこの商品。なんていうサクセスストーリは存在しません。スモールスタートでロングセラー、そんな事例も残念ながら。さて、我々が身を置きますお酒の業界。なんとここには、お酒のメーカーは2000社以上もあります。小さな規模でも誇りを持って、心を込めて、愛情注いで酒造りに没頭している酒蔵がたくさんあります。そんな酒蔵が丹精込めてつくった新酒をお披露目する場を、この国のマーケットが、この組織小売業でしか販売チャネルを持っていなかったら、どこに露出していくのでしょうか?厳しい状況が続くのではないでしょうか?お披露目する場所、楽しむ場所がなくなっています。このコロナ禍で小さな酒屋、小さな飲食店が行き詰まって瀕死の状態になっています。これが1年、2年続くと、流通が立たれ、販売先が立たれ、美味しいお酒が作れなくなり、今まで当たり前のようにあった酒造り文化がなくなっていってしまいます。これがどう変化すればいいのか?コレをどう成り立たせていくのか?が我々酒屋の課題です。その前に我々も必死ですから。コロナ禍の酒屋はつらいよ。です。

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狭域エリアマーケティングの話

この大吟醸で大往生の制作に携わるエージェントプラスの橋口氏がよく使う言葉で狭域エリアマーケティングという言葉があります。エージェントプラス社はWEB事業を営んでいますので、日本語でつくったWEBサイトは、日本全国がマーケット。これが広域エリアマーケティングで、不動産情報であったり、スーパーであったり、医療であったり、そして我々業務卸をする酒屋であったりというのは、その反対で狭域エリアマーケティングだそうです。狭域エリアマーケティングはやはり地元の民こそが、主役であるお客様です。その人たちが地の利を生かして生鮮食品を食べています。たとえば、鹿児島でしゃぶしゃぶ食べて、宮崎で鳥刺し食べたとします。そのお店が出店しています福岡・東京でそれらを食べたとき、どうしても味が落ちてしまう。それらは地の利が失われた鮮度に起因していると考えます。だから狭域であり、狭域の中に価値あるマーケットがあるのではないか?と。

また、日本酒は生鮮食品なのではないか?彼はそう言います。だから福岡の地酒を福岡県民が消費しないといけないと。私も同感します。日本酒は農産物からできたものなので、生鮮食品だと私も考えています。なので工業製品ではないのです。つくりての思いがこもったハンドクラフトな逸品なのです。

鹿児島はまだ市町村ごとに焼酎蔵があります。でも醤油屋はキッコーマンであったり、ヒガシマルであったり、人の移動とともにかつては町に一つあった地場の醤油がなくなっていきました。そして醤油は工業製品へ。地元の醤油を愛していた人たちが納得できるかどうか?とっても疑問である。同じように地域にあった酒蔵が「おらがまちの、おらがじまんの」酒蔵がなくなることがいいかわるいか?見つめ直すいい機会なのかもしれません。灘のお酒しかなくなったよっていうことになったときにそれがいいのか?

海外戦略をとったときに、ウイスキーメーカーであったり、バカルディであったりは工業製品になり、どんどん供給量の確保をしていきました。だから世界で席巻させていくことができました。。今、焼酎メーカーが世界中に打ち出そうとすれば、工業製品にならないといけない。それは是のような気がするけど、でもお酒が好きであれば好きであるほど、小さい蔵元のウイスキーが美味しいといって評価しているのではないでしょうか?価格もきっとそう。下を向いたら工業化していきますし、上を向いたらクラフト化へシフトされていきます。

福岡,大吟醸,酒屋はつらいよ

大吟醸で大往生だからこそ。

日本酒はやっぱり手作りで1本1本丹精込めてつくりあげるに限りますね。そんな酒蔵を応援したいし、そんなお酒を売っていきたい。私ども酒屋の願いであり、意地であり、夢であり、現実であります。