溝上酒造とは?

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北九州市で数少ない日本酒蔵、溝上酒造。
私、友添健二の北九州のイメージは鉄の街であり、工業地帯です。
そんなところで本当においしい日本酒はできるのかと正直疑問でしたが、溝上酒造に初めてうかがって、先入観だったことに気づきました。
本当にいい蔵です。

皿倉山の麓にある蔵の代表銘柄は「天心」。
8代目の蔵元で杜氏も務める溝上智彦さんは、ほとばしるような日本酒への情熱を持った方で、友添本店としてもぜひお付き合いをしたいと思う方です。

溝上さんは。とにかく苦労されて、天心というブランドを築いてこられた方です。
もともと祖父が酒蔵を経営し、父は関連の酒卸会社を任されていたといいます。
だから溝上さんも、父の手伝いをしていて、酒造りはノータッチ。
それが家の事情で、急きょ酒蔵へ。
当時、蔵人の多くが会社を去り、杜氏も不在でした。
何とか丹波から杜氏を招いたものの、高齢を理由に1年で蔵を去ったそうです。

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1884年創業の造り酒屋存続のピンチ。
「酒造りをできる人が誰もいない状態。私がやるしかなかったんです」と当時を振り返って、溝上社長は苦笑いします。

1996年、「酒造りの素人」がいきなりの杜氏就任でした。

1年間、丹波杜氏の姿は見ていたものの、どうしたらいいのか正直わからない。
本を読んだり、前杜氏に聞いたり。
いい酒をと言うより、つくることだけで精一杯だったといいます。

福岡の杜氏の集まりでは、ショック続き。
各蔵持ち寄り利き酒で、レベルの高さに驚き、劣等感ばかりだったとか。
それでも「なにくそ」と諦めないのが溝上社長のいいところ。
「どんやったら華やかな香りになるのか?」など酒造りを必死に勉強して、6年後の2002年に福岡国税局の鑑評会で優等賞を受賞するまで成長します。

「とにかくうまい酒をつくりたい」と走り続けてきた溝上社長。
今や福岡県の酒類鑑評会で優秀な賞を何度も獲得するまで評価されるようになりました。

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ただ友添は賞を取っているから、天心に興味が出たわけではありません。
溝上さんの人柄、日本酒への情熱が一番惹かれるポイントです。

「地元の原料で酒をつくりたい」と、使用する酒米(山田錦、夢一献、吟のさと)のほぼすべてが北九州市産なんていいじゃないですか。
「何度もやめようと思った」という苦しい中で、搾り機などの設備投資を続け、低い温度で品質の良い酒造りができる環境も整えて来た話もすごく共感できました。
今でも「もしお金があれば、自分のよりも、酒造りの機械に投資したい」と笑います。

生きがいというか、人生の目標そのものが「うまい酒造ること」だと感じさせる男です。
そんな杜氏が醸す酒を飲んでみたいと思いませんか?

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