石蔵酒造とは?
実は、福岡市には2軒しか酒蔵がありません。
その1軒が博多で唯一の造り酒屋である、石蔵酒造です(もう1軒は福岡市西区の浜地酒造)。
この石蔵酒造、福岡の方にとっては「博多百年蔵」という愛称の方が通っています。
博多の街中。
「よう、こげんところで、酒が造れるな」
正直なところ、私、友添健二はそう思っていました。
石蔵酒造の日本酒のイメージは「フレッシュ」
観光蔵の印象が強い石蔵酒造ですが、2015年に稼働したばかりの醸造場に案内されると、小さなスペースで、きちんと酒造りをされているのに驚きます。
水も蔵の下から汲み上げており、正真正銘の博多の地酒を造られているんです。
友添が近ごろ思い浮かべる、石蔵酒造の日本酒のイメージは「フレッシュ」。
福岡では珍しく通年醸造をしている蔵で、常に新鮮なお酒を提供してくれます。
博多百年蔵に来れば、1年中、搾りたての生酒を味わえるんです。
福岡の他の蔵では、聞いたことがありません。
これは、ものすごいアドバンテージだと思います。
「おいしいものをお客さまに」という想いで通年醸造に
飲食スペースを兼ね備えた酒蔵としても知られ、年間110組が結婚式を行っているそうです。
宴会を含めたら、年に3万人の人たちに石蔵酒造のお酒を提供していることになるといいます。
「毎日が蔵開きです」と笑う、石蔵利憲専務の言葉に納得します。
酒造りの統括をしていて、宴会の際はホールで接客する小島豊実さんにとっては毎日が試験。
自分の造った日本酒がお客さんに試されます。
「年々、お客さんの評価が上がっていると、ものすごく感じています」
黒田家の御用商人だった「石蔵屋」が前身の石蔵酒造。
筑前福岡藩主の命を受けた黒田官兵衛・長政親子に帯同して博多に入り、海運業を経て、江戸時代後期から酒造りを始めたといいます。
かつては、他の酒蔵と同じように冬場を中心に酒造りをしていた石蔵酒造。
ただ、在庫を抱えすぎてお酒を適切に管理できなかった過去もあり、「おいしいものをお客様に」という想いが通年醸造に舵を切らせました。
少量仕込で毎月フレッシュなお酒を提供しようという「フレッシュローテーション」
「効率的ではないかもしれませんが、小さな蔵がきちんとしたお酒をつくろうと思ったら、この形になりました。そして、きちっとしたものを製造していると、お客様も評価してくれるということがわかってきたんです」と石蔵専務は言います。
2011年に火災で約1000平方メートルの建物を消失した時、私友添も、他の博多の方と同様に心を痛めました。
だが、石蔵酒造は再び酒造りに挑戦し、これまでにない新しい道をつくっているところに共感します。
近ごろは、酒のコンテストで優秀な賞を受賞しています。
酒がどんどんうまくなっている。
、博多でただ1軒の造り酒屋に注目です。