菊美人酒造とは?
菊美人酒造といえば<、日本を代表する詩人であり、歌人であった北原白秋が頭に浮かびます。
柳川で育ち、実家が造り酒屋だった白秋の姉、加代さんが嫁いだ先が、菊美人酒造でした。
北原白秋は姉のいる蔵に滞在し、酒を飲み、気分が乗ってくると、詩歌を筆で書き連ねたと言います。
菊美人酒造には、白秋が残した直筆の詩歌が数多く保管されています。
そして、日本酒「菊美人」のラベルに使用されている独特な細い筆字も、白秋が自ら書いたものなのです。
この白秋直筆の「菊美人」の書は、実は3つあります。
私、友添健二は蔵を訪問した際、蔵元の江崎俊介社長に3パターンの書を見せていただきました。
それぞれ、微妙に違っていて、興味深いです。
菊美人酒造の新たな挑戦
さて、この菊美人酒造。
最近、酒類のコンテストで優秀な賞をもらい始めています。
江崎社長が「うちは有明海の幸のクチゾコの煮付けや鰻飯など、地元筑後の食に合うような濃醇なお酒をポリシーとしてつくっています」と言うように、菊美人の日本酒はどっしりした濃い味のイメージでした。
正直、甘辛い食事に負けないお酒という感じがしていて、コンテスト向きの酒ではないのかなと思っていたので、友添は最近の菊美人の高評価に驚いています。
しかし、蔵を訪れてみて、菊美人がちょっと変わったんじゃないかと言われている理由がわかりました。
まず、杜氏の交代かなと思います。
数年前まで80代の杜氏が仕切ってきた現場は今、60代の新杜氏、黒田信久さんに引き継がれ、新たなチャレンジが始まっています。
黒田さんも決して若いとは言えませんが、友添が蔵を訪れた際は、科学的な分析などを駆使しながら、酒造りをしている姿が見られました。
そして、ここ数年、酒造りのための設備投資を次々と行っていることだと思います
日本酒を保存する最新の冷蔵庫から始まり、まだ使用はしていませんが麹をつくる木製の道具を新しくつくり、菊美人という酒のクオリティを上げるための努力をされています。
この投資は何百万円にも及ぶそうで、江崎社長も「またレクサスが買えなくなりました」と苦笑いされていました。
近ごろは日本で唯一、「つやおとめ」という酒類の地元産の食用米を使った日本酒「つやおとめ」をつくったりと、面白い試みをされている菊美人。
これから、どんどんと清酒のクオリティが上がっていきそうで、友添がとっても楽しみにしている蔵の1つです。