大賀酒造とは?
私、友添健二が大賀酒造(福岡県筑紫野市)と聞いて思い浮かべるのが、造り酒屋としての歴史の長さです。
現在、福岡の酒造りをしている蔵の中で、一番古いです。
創業は江戸時代の延宝元年(1673年)と言いますから、実に347年の歴史があるわけです。
300年以上も続いている会社って、日本にどれぐらいあるでしょうか?
「大賀家はもともと庄屋で、500年ぐらい前にはすでにこの地に来ていたそうです」と、大賀酒造の蔵元・大賀信一郎さんはにこやかに話します
3世紀続く酒蔵、その歴史に酔う
大賀酒造は太宰府天満宮の近くに蔵を構え、その天神さまに清酒も納めるなど深い関係にあるそうです。
太宰府天満宮の秋の大祭で神輿行列をするとき、神輿の牛車を引く牛は、昔から大賀家の黒牛と決まっているとか。
また美しい藤棚で知られる九州最古の寺、武蔵寺(筑紫野市)の仏事には、大賀の日本酒は、欠かせないものになっています。
全国で知られる学問の神様と、九州で最も古いお寺を直線で結んだ間に位置し、双方とも関係のある福岡最古の現役造り酒屋と聞いただけで、私友添は歴史ロマンを感じずにはいられません。
この歴史こそが最高のスパイスに他ならないと思うのです。
3世紀続く酒蔵は、どんな日本酒を造るんだろう?
飲んでみたいと思いませんか?
仕込み水の良質さがその名の由来
代表銘柄は、玉出泉。
玉は宝であり、宝のような泉が湧き出たことから名付けられたお酒。
仕込み水として使う地下水の良質さが名前に表れています。
近年は、酒類の鑑評会でも、大賀酒造の日本酒は目立った存在になっています。
南極観測隊の料理人に気に入られ、大賀の酒が南極大陸に渡ったというニュースもありました。
「ここ何年かで、酒造りの何かを大きく変えたわけじゃありません。ちょっとずつマイナーチェンジをしながら、今の日本酒が出来上がってきたんです」と大賀さん。
「私が目指すのは、あまり派手じゃない、穏やかな香りで、気づいたら2~3杯飲んでしまっているようなお酒。そんなきれいな日本酒を造っていきたい」と力を込めて話します。
350年という長い歴史の中で、それぞれに訪れた危機を乗り越え…
今、新型コロナウイルス禍で、日本酒業界も厳しい状況にあります。
ただ、大賀酒造は約350年の酒造りの中で、明治維新も、日清・日露戦争も、スペイン風邪も、太平洋戦争も、乗り越えてきた歴史があるんです。
「残念ながら文献が残ってなくて、当時の蔵元たちの思いは想像するしかないのです。おそらく、それぞれの時代で訪れた危機を、もがき苦しみながら乗り越えてきたから、今があるんだと思います」と、大賀さんは言います。
長きに渡って酒造りをしてこられたのは、その日本酒を愛してやまない人たちがいたからに、他ならないと思います
3世紀の歴史のスパイスを肴に、大賀酒造の清酒を味わってみませんか?